信長くんが行く!

信長くんが行く!(1)

これは、ほんのちょっと[むかし]の物語。
そして、実際[じっさい]にあった、おはなしです。

ある所に、信長[のぶなが]くんという、
それはそれは、ひどく横暴[おうぼう]なものがおりました。
彼は立派[りっぱ]なヒゲを持ち
顔も、たいそう[いさ]ましく
[]格好[かっこう]はたくましい
ハムスターです。

ハムスターの信長くんは
自分の寝床[ねどこ](ケージ)が、たいそう気に入っていました。
寝床は和風[わふう]で、壁紙[かべがみ]には、壁と引き戸と富士山[ふじさん]の絵がついたタペストリーがの[えが]かれており、ベッドはテレビ[がた]で、こたつ型のエサいれです。
…ケージが和風なので、信長と名づけられたのです。
どこぞのもの好きが、織田[おだ]信長[のぶなが]のファンだから、ペットに名づけたのです。

「ここは わしの天下[てんか]じゃ!」

信長くんは、たった1匹だけで、ケージの中をパタバタと[あば]れまくっていました。

そんな、ある日のこと。
ひょっこりと、信長くんの寝床に、新参[しんざん]ものが[あらわ]れたのです。

信長くんは、怒鳴[どな]りました。
「キサマ、何やつじゃ!」

すると新参ものは言いました。

拙者[せっしゃ]、とうきちと[もう]すものです。
しばらく、こちらで厄介[やっかい]になるゆえ、お見知りおきを」

これが、信長とサル…いや、ハムスターの信長くんと、とうきちの出会いでした。

そして、物語がはじまったのです。

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信長くんが行く!(2)

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ひょっこりと、信長[のぶなが]くんの寝床[ねどこ](ケージ)に、新参[しんざん]ものの、とうきちが現れました。
こうして、信長くんと、とうきちの共同生活が始まったのです。

この寝床(ケージ)は2[かい][]てで、1階には 『[だい]浴場[よくじょう]』 と書かれた、お風呂場[ふろば]があって、トイレもそのお風呂場にあります。
(※本当は別々にあったのだけれど、ハムスターの信長くんが、おトイレを別の場所でしてくれないので(苦笑) お風呂場とトイレは同じになってしまいました。(汗)
そして、同じく1階には、居間[いま]があり、テレビ(ベッド)と[][][](エサ入れ)がありました。
それから、観覧車[かんらんしゃ](回し車/[おも]に運動用)もあります。
2階にあがるためのエスカレーター(の形をした、上へのぼる坂道[さかみち])があって、2階には小さな部屋が1つだけです。

…ハムスターとはいっても、信長くんは、けっこう贅沢[ぜいたく][]らしをしておりました。
戦国[せんごく]時代[じだい]のお殿[との]さまの名前に[]じないような贅沢ぶりでした。

さて、その寝床…いや、お[][しき]といってもいいかも知れませんが、そこへやって来たとうきちくん。
彼は、きれい好きなので、さっそくお風呂[ふろ][すな]風呂[ぶろ])に入ることにしました。
しかし…
すでに、お風呂場[ふろば]には、信長くんがおりました。

「あ〜、気持ちいいわい。
わしの毛並[けな]みも、これで[つや]やか♪
Σムムッ!」

信長くんは、お風呂場に入ろうとする、とうきちを発見しました。

「こら!  わしの風呂場じゃ!」
信長くんは、怒鳴[どな]りました。

とうきちは、ズカズカとお風呂に入ろうとします。

「…拙者[せっしゃ]も、キレイ好きゆえ、風呂に入り…あぎゅっ★」

信長くんのパンチが、とうきちにサクレツ! バコッ!!
さらに、ガブッとかみつき攻撃! ガジガジ!!
ハムスターの[][するど]いので、かみつかれたら大変です!

「チューッ!!」
たまらず、とうきちは、風呂場から出て行きました。

[たたか]いに勝った信長くんは、
「わっはっは!  してやったりじゃ!」
と言わんばかりに、風呂場でゴロゴロと転げまわっていました。

ハムスターは、毛を砂にこすりつけて、[よご]れを[おと]すので、転げ回っているのは、一生[いっしょう]懸命[けんめい]に体をキレイにしている証拠[しょうこ]です。

その様子[ようす]を、うらめしげに見てる、とうきち。

(くっそ〜! 今に覚えてろ〜!)

とうきちは、ひそかに野心[やしん][いだ]いていました。

さてさて、2匹の[]い主のわたるとしては、
織田[おだ]信長[のぶなが]木下[きのした]藤吉郎[とうきちろう]のような[なか]になって[]しかったのですが…
どうやら、ハムスターの彼らは、『なわばり意識[いしき]』がとっても強いようです!

信長くんの方が、とうきちよりも、1週間早く、寝床(ケージ)へやって来たのですが…。
信長くんはすっかり、
『ここは、自分だけの[しろ]』 と思っているようです。
この先、どうなることやら…。


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信長くんが行く!(3)

<<その2へ

さて、食事の時間です。
[]い主のわたるは、こたつ[がた]のエサいれに、信長[のぶなが]くんたちのご[はん]をあげました。

「おぉ! これは、
わしの鉱物[こうぶつ]の ヒマワリのタネ!」
信長くんは、1番美味[おい]しそうなヒマワリのタネを1つ手に取りました。
「はぐ、はぐ。うまい…Σうっ!」
信長くんの動きが止まりました。
そばにいた、とうきちくんが目を光らせていたのです。

エサいれには、たくさんのヒマワリのタネがあります。
なのに…とうきちくんは、信長くんが手にしているヒマワリのタネだけを見ています。

「それは、拙者[せっしゃ]が先に目をつけていた、ヒマワリのタネ!」
言うが早いか、とうきちは、信長くんが食べていたヒマワリのタネを[うば]ってしまったのです。

「あっ!」[おどろ]いた信長くん。
「ゆるさん!! キサマ、ゆるさんぞ!」
[おこ]った信長くんは、とうきちにしがみつきました。

「やるか! こいつ!」
とうきちも負けじと、信長くんにしがみつきました。

それから、2匹の取っ組み合いが始まってしまったのです。
「チュー!!」
[きば]をむき出しにして、[たたか]う2匹。

「まった!! そこまで!
この勝負、引き分け!」
飼い主のわたるは、間に入り、なんとか2匹を引き[はな]しました。


それから…

信長くんは、お気に入りの城(和風ケージ)。
とうきちは昇格[昇格]し、秀吉[ひでよし]に名前が変わって、自分の城(水槽[すいそう][がた])を持ち、それぞれ、別々に[]らしました。

信長くんは、気性の[あら]いお殿[との]さまで、[さく]をガシガシとものスゴイ顔でかじり、トイレは何故[ばぜ]かエスカレーターの入り口です。
本当に、自分本位なハムスターでした。

一方の昇格した、とうき…秀吉くんは、大人[おとな]しく礼儀[れいぎ]が正しいハムスターです。
トイレもお風呂[ふろ][]も、きちんと分けて清潔[せいけつ][]らしました。


今は、もう…彼らはこの世にいませんが、2匹は天国で仲良くやってくれているといいな。
…なんて思っています。
もしかしたら、天国でもケンカをしているかも知れませんけれどね(苦笑)

これで、このはなしは終わります。
ハムスターのなわばり意識[いしき]って、本当に強いものですね;
わたしたち人間は、仲良くしていきたいな。と思いました。

―おわり―

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